第2次選考結果 及び 審査講評

兵庫県林業会館CLTによる建設 実施設計・施工一括発注プロポーザルの第2次審査会の結果を公表します。

より持続的な林業および持続可能な社会を形成していくためには、木材の需要を拡大していく必要があると考え、本事業では、求める要件の一つとして、木材(CLT)の普及・一般化につなげていくためのモデルとなる建物であることを掲げ、進めてまいりました。
第2次審査会では、「基本的な性能」「全体管理計画」「建築計画の創造性」「施行計画の具体性・合理性」「県産材利用の普及啓発」「維持管理のしやすさ」「コスト」の観点から審議を行いました。
総評および結果は以下の通りです。

〇総評

今回第2次審査会に参加された4者には、CLTの普及に向け、持てる技術力を活かし、熱意のある提案をいただきました。
兵庫県林業会館は、防火地域における中層建築へのCLTの導入になり、構造及び防耐火の面において解決すべき技術的な課題も多くあります。一般的に、木構造(CLTパネル工法)で、防耐火に関する基準を満たそうとすると耐火被覆をおこないCLTが見えなくなります。一方で、木構造のみにこだわらないと、CLTを見せることが可能となるという、木構造と木を見せることとがトレードオフの関係にあります。
こうしたなか、第2次審査は、構造及び防耐火に関する技術的な確認をしつつ、最終的には、CLTの今後の普及について、「CLTパネル」そのものの普及を重視するのか、「CLTを用いた工法」も含めた普及を重視するのかが論点となりました。

〇結果・講評

第1優先交渉者:竹中工務店・大和ハウス工業特定建設工事共同企業体
(構成団体:株式会社竹中工務店神戸支店、大和ハウス工業株式会社)

<講評>
CLTと鉄骨のハイブリッド構造で、カーテンウォールと組み合わせることにより耐火性を持たせ、地震力等を負担するCLTが外観上見える提案となっており、今後の中高層建築への普及可能性や県産材のPR力が高いことが高く評価された。
一方で、今後、実施設計・施工段階において、県産材利用に向けたより一層の提案(利用量の増大)が期待されること、また構造面は技術的にクリアしているが、防耐火の面では鉄骨の耐火とCLTの組み合わせについて技術的クリアが必要であることが指摘された。

次点:NSUN特定建設工事共同企業体
(構成団体:株式会社中田工務店、株式会社綜企画設計 神戸支店、株式会社内海彩建築設計事務所、株式会社日本システム設計)

<講評>
CLTパネル工法をベースに大スパンの部分には鉄骨梁を用いることで、構造的な合理性を持つ、CLTパネル工法の普及も期待できる提案となっている。防耐火についても、全て耐火被覆するという点について、安定感のある提案であった。
一方で、普及性の観点やCLTを見せるという挑戦的なところがうかがえなかった点が、第1優先候補者の案に一歩足りなかった点である。また、平面プラン上、貸し付けに不安が残る点も課題として指摘された。

兵庫県森林組合連合会 代表理事会長
石堂 則本

 

 

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